2011.09.07 Wednesday
続あとさき日記-05-名曲【手のひら】04
◆先日家人がヨーロッパ(ザックリしてるが)に行った。1ヶ月の演奏旅行だ。幾分、不安はあるが、とりあえず家を掃除しまくって洗濯して台所をピカピカにしてお粥を作って食べた。粥をすすっても、ひとり。齢36の大人である。おろおろうろたえていてはいけないのだ。ひとりでも大丈夫なところを存分に自覚したい今日この頃。
◆【Ato-Saki】は再演とはいえ脚本を大いに練り直さねばならない。もう5年過ぎてずいぶんいまの感覚と違うし、不親切で不寛容な部分も見える。鉢巻締めて不退転の覚悟で書いている。ご期待いただきたい。
◆さて名曲である。飽くまで私の主観である。今回は長渕剛さんを紹介する。家人に「良い曲じゃない?」と長渕さんの曲をかけて聴かせると「ひとりでヘッドフォンにして聴いてくれる?」と辛辣に責められる、を例にあげるまでもなく『アンチ、ナガブチ』は多い。確かにとんでもないキャラクターである。ドラッグで捕まったりもした。なんともいえないが、良くも悪くも自分を変化させ続け、この生き馬の目を抜くような芸能界でしっかり活動しておられる。社会性の強いひとは彼のような人物は嫌いかもしれない。音楽を聴くまでもなく、おなじコミュニティで仲良くなれそうもない、と表層心理で思った瞬間に『ダメ』ということだろう。それはそういうことでしょうがないが、そういう社会だからコスプレ的ではない真性のアクのある人物が世に出れなくなってしまったのではないか。
◆彼には歴史がある。30年を超えるキャリアがある。私のようなオールドファンにはいわゆる『さわやかツヨシ』時代の印象のほうがまだ強く残っており、現在の彼の変容に対して戸惑いのような感覚はある。けれども私は嫌いになるどころか、まだ新しいファンをしっかり開拓し続けている姿に敬意を抱く。ただ彼の新曲の音楽性とは共感できなくなってしまった。
◆多かれ少なかれ、長く一線で活動する表現者はふたつのものを持っている。ひとつは時間軸のなかで対外的な自分を変化させ続けること。かなり強い意図で『変態』させている。もうひとつは歌詞にせよメロディにせよ存在に対し、執着し続けるフェチを持ちそれを変化させないこと。そこは単なる『変態』といってもよい。そのほとんどのベテラン表現者は両方を持っている。少なくともいづれかは持っている。私は例外を知らない。小田和正さんはフェチ派か。井上陽水さんはどちらも持っているがやや変化の振り幅が穏やか。伊勢正三さんはフェチ派だ。南こうせつさんはどちらでもないのか?ん。…でもかぐや姫は好きだ。泉谷さんは…、閑話気味になってきた。
◆今回はいわゆる『さわやかツヨシ』時代の隠れた佳作【手のひら】を聴いていただきたい。美声である。叙情である。『アンチ、ナガブチ』様方にちょっとは彼を見直して欲しい。叙情が嫌いなひとは別の機会にでもそういった曲を紹介したい。ま、嫌いなままでもいいのだが。
◆改めて聴いて、ふと思い出している。中学に入った時分だろうか、SONYドデカホーンCDが家に届いた。「欲しい欲しい!」と姉と二人で協同し地団駄踏んで母におねだりし買ってもらったのだ。その黒光りする新品のドデカホーンをダンボールから出した瞬間の金属の匂い。嬉しい匂いがする。そしてまだそれほど普及していなかったCDを買いに走る姉。初めて聴いた曲はレベッカだったと思う。封を開けびっくりする私たち。その見たことない七色の輝きはどうしたことか。一同、うっとりする。私の世代にとってはまさに『青春の輝き』。CDに一番驚いていたのは母だ。「こんなんで音なるんやー」とうなる。母子家庭で貧乏だったけど、彼女は姉弟に不自由を感じさせなかった。みんな楽しげに笑っている。…いま眼前にそんなささやかな家族の仕合せが見えているのだった。
◆【Ato-Saki】は再演とはいえ脚本を大いに練り直さねばならない。もう5年過ぎてずいぶんいまの感覚と違うし、不親切で不寛容な部分も見える。鉢巻締めて不退転の覚悟で書いている。ご期待いただきたい。
◆さて名曲である。飽くまで私の主観である。今回は長渕剛さんを紹介する。家人に「良い曲じゃない?」と長渕さんの曲をかけて聴かせると「ひとりでヘッドフォンにして聴いてくれる?」と辛辣に責められる、を例にあげるまでもなく『アンチ、ナガブチ』は多い。確かにとんでもないキャラクターである。ドラッグで捕まったりもした。なんともいえないが、良くも悪くも自分を変化させ続け、この生き馬の目を抜くような芸能界でしっかり活動しておられる。社会性の強いひとは彼のような人物は嫌いかもしれない。音楽を聴くまでもなく、おなじコミュニティで仲良くなれそうもない、と表層心理で思った瞬間に『ダメ』ということだろう。それはそういうことでしょうがないが、そういう社会だからコスプレ的ではない真性のアクのある人物が世に出れなくなってしまったのではないか。
◆彼には歴史がある。30年を超えるキャリアがある。私のようなオールドファンにはいわゆる『さわやかツヨシ』時代の印象のほうがまだ強く残っており、現在の彼の変容に対して戸惑いのような感覚はある。けれども私は嫌いになるどころか、まだ新しいファンをしっかり開拓し続けている姿に敬意を抱く。ただ彼の新曲の音楽性とは共感できなくなってしまった。
◆多かれ少なかれ、長く一線で活動する表現者はふたつのものを持っている。ひとつは時間軸のなかで対外的な自分を変化させ続けること。かなり強い意図で『変態』させている。もうひとつは歌詞にせよメロディにせよ存在に対し、執着し続けるフェチを持ちそれを変化させないこと。そこは単なる『変態』といってもよい。そのほとんどのベテラン表現者は両方を持っている。少なくともいづれかは持っている。私は例外を知らない。小田和正さんはフェチ派か。井上陽水さんはどちらも持っているがやや変化の振り幅が穏やか。伊勢正三さんはフェチ派だ。南こうせつさんはどちらでもないのか?ん。…でもかぐや姫は好きだ。泉谷さんは…、閑話気味になってきた。
◆今回はいわゆる『さわやかツヨシ』時代の隠れた佳作【手のひら】を聴いていただきたい。美声である。叙情である。『アンチ、ナガブチ』様方にちょっとは彼を見直して欲しい。叙情が嫌いなひとは別の機会にでもそういった曲を紹介したい。ま、嫌いなままでもいいのだが。
◆改めて聴いて、ふと思い出している。中学に入った時分だろうか、SONYドデカホーンCDが家に届いた。「欲しい欲しい!」と姉と二人で協同し地団駄踏んで母におねだりし買ってもらったのだ。その黒光りする新品のドデカホーンをダンボールから出した瞬間の金属の匂い。嬉しい匂いがする。そしてまだそれほど普及していなかったCDを買いに走る姉。初めて聴いた曲はレベッカだったと思う。封を開けびっくりする私たち。その見たことない七色の輝きはどうしたことか。一同、うっとりする。私の世代にとってはまさに『青春の輝き』。CDに一番驚いていたのは母だ。「こんなんで音なるんやー」とうなる。母子家庭で貧乏だったけど、彼女は姉弟に不自由を感じさせなかった。みんな楽しげに笑っている。…いま眼前にそんなささやかな家族の仕合せが見えているのだった。
Performing Arts Company VOGA
結成15周年記念作品
【Ato-Saki】
作・演出・音楽:近藤和見
◇出演者
草壁 カゲロヲ
ハ・スジョン
ふくだ まさと
昭和 今日子
(※以上、ヴォガ)
足立 昌弥
新井 達也(CrossRopeLife)
岡田 将司
田中・G・ツヨシ
堀井 和也
松嵜 佑一(A級MissingLink)
ゆかわ たかし(昭和芸能舎)
横山 直樹
谷 弘恵
船戸 香里
ののあざみ
高橋 理紗(空の驛舎)
滝沢 侑子
◇大阪公演
☆日時:2011年10月22日〜30日
☆大阪公演会場:大阪芸術創造館 大練習室
◇東京公演
☆日時:2012年1月6日〜9日
☆東京公演会場:シアターグリーン BASE THEATER
◎チケット料金
前売:3,000円・当日3,500円・学生2,000円
結成15周年記念作品
【Ato-Saki】
作・演出・音楽:近藤和見
◇出演者
草壁 カゲロヲ
ハ・スジョン
ふくだ まさと
昭和 今日子
(※以上、ヴォガ)
足立 昌弥
新井 達也(CrossRopeLife)
岡田 将司
田中・G・ツヨシ
堀井 和也
松嵜 佑一(A級MissingLink)
ゆかわ たかし(昭和芸能舎)
横山 直樹
谷 弘恵
船戸 香里
ののあざみ
高橋 理紗(空の驛舎)
滝沢 侑子
◇大阪公演
☆日時:2011年10月22日〜30日
☆大阪公演会場:大阪芸術創造館 大練習室
◇東京公演
☆日時:2012年1月6日〜9日
☆東京公演会場:シアターグリーン BASE THEATER
◎チケット料金
前売:3,000円・当日3,500円・学生2,000円